「ただいまー‥‥‥」
「おかえり」

今日も今日とて仕事疲れで、私は自室のソファに座る。はぁ、と溜息を吐く。何もする気が起きず、ぼーっとしてると肩にわずかな重みが。

「天?」

それは隣に座っていた天の頭で。私は天を見る。

「お疲れ様。メイクちゃんと落とさないと、」
「うん」

分かってはいるのだが、身体が動かなくて。そう思っていると、仕方ないな、と隣から声が聞こえる。

「メイク、落としてあげる。他にして欲しい事は?」
「ぇ……」
「ああ、いや。僕がしたい事をしようかな」
「天ちゃん?何を??」

私の前に立つ天を見上げると、彼はぎゅっと私を抱き締めた。急な事で驚いた私は目を見開く。

「ハグはストレス解消になるらしいよ。さ、メイク落とす道具取ってくる」
「あ、はい」

そう言ってぺたぺたと私の部屋へ向かい、すぐに戻ってきた。手にはメイク落としを持って。そしてそのまま天は、何事もないように私のメイクを落とし、道具を片付ける。

「あの、天。どうしたの?」
「どうしたのって、疲れたんでしょ。あ、お風呂沸いてるから」
「あ、はい。有難う、じゃなくて!急に甘やかしてくれるなんて……」
「普段頑張ってるご褒美だよ。よしっと、ちゃんと捕まっててね」
「え、ちょ!?」

片付け終わった天は私の背中と足に腕を回し、そのままひょいと持ち上げた。ぎゃぁ!?と小さく悲鳴を上げる。

「て、てん!!重いからっ、降ろして!!歩けるよ!!」
「さっき、一歩も動けませーんって顔してたでしょ。大丈夫。髪も身体も洗ってあげるから」
「っ!?」

耳元でそう囁かれ、私は言葉を失う。

「だ、だいじょ、だいじょうぶだからっ!!」
「大丈夫じゃないでしょ。だーめ、逃がさないよ。今夜は目一杯甘やかしてあげる」
「いや、お気持ちだけでっんむ!?」

遠慮する私の口を天が塞ぐ。ちゅ、ちゅと何度か啄まれる口づけに絆されていって。

「お姫様の我儘を聞くのは、僕だけの特権でしょ」
「うぐっ‥‥‥」
「お風呂上がったら、一緒にご飯食べて、一緒に寝よう。明日は休みでしょう?」
「そう、だけど‥‥‥」
「僕も休みなんだ。たっぷり、2人の時間、堪能出来るね」

にこり、と微笑む彼に私は何も言えなくなって。もおおおお、と天の首筋に額を付ける。

「天のそう言うとこだぞぉ~~~」
「ふふ。お姫様はこういうの弱いもんね。可愛い」
「うるさいいいい」
「ねえ」
「なによ、」

呼ばれて私は天を見る。天はすごく優しい顔で微笑んでいて。

「好き、大好きだよ」
「っ、」

そう囁いて、私にキスをくれた。

「っ~~~~!!私の方が好きだわ、ばかぁ~~~!!」

お姫様の我儘を叶えたい



あとがき Twitterで降谷ネタの代わりにユキナしゃんから頂いたもの。天くんに甘やかされるとか幸せの極み………天に召される。素敵すぎて言葉にできない。「好き、大好きだよ」とか言われてみろよ‥‥‥ふっ(昇天)命がいくつあっても足りません。
素敵な夢をありがとうございました!これからも宜しく!